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もう一つ現代人の精神安定剤になっているものがある。 ヘロインほど習慣性がなく、アルコールほど害もない偉大なトランキライザー、 だが環境面から見ると問題ありと言わざるをえないもの、 それはショッピングである。 ショッピングの目的は必要なものを買うことではなくて、 その娯楽性にあることは多くの人が認めるだろう。 大量に服用すれば、それは抑鬱を解消するのに役立つように思われる。 ショッピングは、伝統的な狩猟や採取活動の代替物として現代が提供するものである。 昔の狩りの場が現代のショッピング・モールである。 乾燥した地帯で木の根や種、実を集める作業は一日かかったが、 ショッピングも一日の膨大な時間を占める。 そこで人は特殊な知識や技術を発達させることができる (いかにいい品物を選ぶか、いつ、どこで買ったら本当にお買い得なのかというのも、 一つの技術、知識である)。 ショッピングはまた、きちんとした目的のある活動だと言っても通用する。 一日ゴルフをして遊んだ場合にはとうてい無理だが、 ショッピングなら、 遊びの部分を隠したり否定したりすることもできるからである。 —-ピーター・シンガー
SINGER, PETER